肝臓の働き
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肝臓は、大人だと1200グラムほどもあり、内臓の中で最も大きい臓器です。肝臓は次のような重要な働きを担っています。 |
エネルギーの貯蔵 |
糖質、タンパク質、脂肪といった、体にとってなくてはならない物質を貯蔵し、必要に応じて、体のいろいろな組織に供給します。 |
胆汁の生成作用 |
コレステロールから、胆汁を生成します。肝臓で作られた胆汁は、肝管、胆嚢管を経て、胆嚢に運ばれ、脂肪の分解の役割を果たします。 |
解毒作用 |
体組織を形作っているタンパク質は、新陳代謝によって分解され、毒性のあるアンモニアに変わりますが、肝細胞はこの有害なアンモニアを尿素という無害な物質に変えます。この尿素は、血液に溶けて腎臓を経て、尿として体外に排泄されます。その他、胃腸などから吸収した有害物質や、外から取り込まれた薬物なども肝臓が分解・解毒して無害な物質に変えてくれます。 |
赤血球の分解作用 |
古くなった赤血球中のヘモグロビンという成分を分解し、ビリルビンという物質に変えて胆汁の材料にします。また鉄の成分から赤血球の材料を生成します。 |
体温の維持作用 |
肝細胞が以上のようないろいろな働きをしているときには、たくさんの熱を生じます。その熱は血液によって全身に運ばれ、体温の7割ほどを維持してくれます。 |
肝臓病の検査数値
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検査項目 |
基準値 |
数値が示す意味 |
GOT(AST) |
5〜38 IU/l |
肝臓などに含まれる酵素です。肝臓の細胞の破壊によって増加します。 |
GPT(ALT) |
3〜50 IU/l |
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γ−GTP |
4〜50 IU/l |
タンパク質の分解酵素です。アルコール性の肝障害に敏感に反応して上下します。 |
HBV・HCV |
−(マイナス) |
ウイルスマーカーです。感染の有無や活性度を見ます。 ウイルス肝炎については、下記の「ウイルス肝炎の比較」をご参照。 |
※血液検査(基準値は検査機関によって異なります) |
原因による肝炎の分類
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原因 |
肝炎 |
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ウイルス |
肝炎ウイルス |
A型肝炎 B型肝炎 C型肝炎 |
その他のウイルス |
その他のウイルスによる肝炎 |
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アルコール |
アルコール性肝炎 |
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薬剤 |
薬剤性肝炎 |
A、B、C型肝炎の比較
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A型肝炎 |
B型肝炎 |
C型肝炎 |
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感染経路 | 経口(食物・水など)よる経口感染 |
非経口(体液・輸血・性行為などの血液感染) | 非経口(体液・輸血・性行為などの血液感染)などの血液感染 |
好発年齢 | 20〜35歳 |
20〜30代 |
全年代 |
好発季節 | 冬〜春 |
1年中 |
1年中 |
潜伏期 | 2週間〜6週間 |
1ヶ月〜6ヶ月間 |
2週間〜4ヶ月間 |
発症の様式 | 急性で発症 |
徐々に発症することがある |
徐々に発症 |
慢性化(経過) | 急性肝炎 |
急性肝炎・慢性肝炎、肝硬変、肝ガンに移行する可能性もある |
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初期症状 | 軽〜中等症 |
ときに重症 |
軽〜中等症 |
キャリア | まれ |
人口の2〜3% |
人口の2〜4% |
血液検査・ウイルスマーカー | HA抗体陽性 |
HBs抗原陽性の場合は、現在B型肝炎ウイルスに感染 HBs抗体陽性の場合は、過去にB型肝ウイルスに感染 HBe抗原陽性の場合は、感染力が強い HBe抗体陽性の場合は、感染力が弱まっている |
HCV抗体陽性の場合は、現在もしくは過去にC型肝炎ウイルスに感染 HCV−RNAが陽性の場合は、現在C型肝炎ウイルスに感染 |
食事で気をつけること
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慢性肝炎 |
急性肝炎 |
高エネルギー・高たんぱく・高ビタミン (肥満にならない配慮が必要です) |
高エネルギー・高たんぱく・高ビタミン食(肥満にならない配慮が必要です) |
良質なたんぱく質を十分にとる | |
脂質のとりすぎに注意 | 初期のころは、脂質の摂取を少なくし、消化のよい流動食にする |
塩分・水分を制限する | |
アルコールを制限する (肝臓の繊維化を促進してしまいます) |
アルコールを制限する (肝臓の繊維化を促進してしまいます) |
食事は3食規則正しく、朝食を抜かず、夕食は遅くならないように注意します。添加物や加工食品は極力避けます。ストレスをためないようにし、適度な運動をしましょう。 |
肝臓病の治療
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肝臓病の治療の基本は安静です。特に急性肝炎では、発病当初の安静が後々の経過に影響します。急性の場合は、ただひたすら横になっていることです。安静は肝臓への血液循環を良好にさせて、肝臓障害の回復を早めるとともに、肝臓の負担を軽減します。肝臓の血流量は横になって寝ている時が最も多く、立位では約30%、運動時は約50〜80%も減少します。慢性肝炎、肝硬変の方は、食後30〜60分間は横になって休憩することが大切です。 |
免疫と肝臓病
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「免疫力は、従来考えられていたような範囲を超えて、生体活動の膨大な部分を担っている。糖尿病を軽快させたり、肝臓疾患や高血圧を癒したり、慢性病や成人病(生活習慣病)を治癒させたりという、自らの体の内部から健康を回復させようという働き(自然治癒力)の部分でも免疫力は重要な働きを担っている」との某大学病院薬学部教授の指摘もあるように、多くの原因不明の疾患と 免疫との関係が指摘されています。 |
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